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「彼がロボットになろうとした理由」


 ようこそ未来へ、時代遅れの兄ちゃん! まったく、生えたカビも変異するようなクソ過去から遠路はるばるよくぞおいでなすったもんだぜ。(物好きにも程がある!)さあ、何が見たい? 何が知りたい?

 だけど残念。お生憎様。まことに遺憾ながら、いちど行き着くとこまで行き着いた文明社会なんてものはそう簡単に変わりゃしない。ここ数百年来の変化らしい変化といったらせいぜいピザの値段が下がった程度。
乱立するビルの間を行き交う雑踏も、高架下のコンクリ壁の落書きも、アスファルトにへばりついたガムも、路地にたむろする若い奴らも、どれもこれもあんたにとって珍しいものじゃ無いだろうさ。(明るい未来、幸せな未来、希望に満ちた未来! そんなピカピカの未来が見たけりゃ、図書館で子ども雑誌のSF特集でも開くことだな)

 ……おいおい、なんだよ、その不満そうな顔。ご期待に添えないのは俺のせいじゃない。(あんたたちの努力が足りなかったせいだろ?)勝手に期待して勝手に失望されたんじゃ、こっちだってとんだ迷惑だ。
 でも、ま、すべてがまるきり同じって訳じゃないんだ。せっかくの未来、もう少し見物していったってバチは当たらない。(どうせ、呆れるほど暇なんだろ?)

 さて、何から解説しようか。あそこを歩いてる中年親父が肩に載せてる小さな箱か、その向こうの若い娘が腕に巻いてる紫色した生き物か、奥のコーヒーショップの看板からはみ出してる、五本の足か。それとも――おっと。

 そうそう、すっかり忘れてた。唯一、ってワケでもないが、それなりに大きな変化。この世界を語る上で外せない存在があったこと、今の今まで失念してた。

 ほら、あの大通りの人混みの中。背中を丸めてうつむいて歩いてる女のコ。十五くらいの、栗色の髪をした……。
 そう、あれだ。あの小柄な、薄汚れた娘さ。
 ……って、おい。そうあからさまにつまらなそうな顔すんなよ。ちょっとばかし上向き過ぎる鼻と、少し離れ気味の小さな目。太い眉とボサボサの髪。確かに到底美人とは言い難いが(見られた顔じゃないのはお互い様だろう?)、あんたに見せたいのはそんな所じゃない。

 ……なに、女のコのホームレスは確かに珍しいけど、過去の世界にもいない訳じゃないって? ……いいから黙って見てなって。じきに分かるから。……ほら。

 小汚い少女はふと、何かに気付いた様子。頼りなげにふらふら歩いてた足をいつのまにかぱったり止めて、細い路地の前で汚い顔を上げてる。そして、阿呆みたいにつっ立って、そのままじっと動かない。

 彼女の視線の先じゃ、都市のイケてる若者たちが楽しい遊戯の真っ最中だ。
 ストレスと運動不足を同時に解消出来る遊戯。ついでに、道行く人が見ない振りして通り過ぎる遊戯。(人の薄情さってやつも、未来だって変わりゃしない)

 今回の犠牲者は、一人の少年。小柄な身体に細い輪郭とぶかっこうな鼻。そして、首に嵌められた銀の首輪。
 パーツの細部に至るまで、ほぼ完璧。いかにも気が弱そうな、人の嗜虐心を煽るタイプ。(これほど似合いのキャスト、そうはないね!)

 まず顔に数発、ついで腹に数発。前屈みに倒れた後は、背中へと降り注ぐ、何組もの固い靴裏の洗礼。遊具にされた少年はぐったりした様子。その瞳に浮かんでるのは苦痛や恐怖じゃなく、あきらめの色。
 まあ、抵抗したって無駄って事は、もう既に分かり切ってる。(人間の学習能力に乾杯!)


                                  (→「彼がロボットになろうとした理由」へ。)


というわけで、Pixivに載せてる「彼がロボットになろうとした理由」の初稿冒頭が出てきました。
もうね、ティプトリーの「接続された女」の影響受けまくりですね。
でもこの語り口調すごく好きなんですよ。サイバーパンク文体?
ひたすらウザい三人称の地の文いいですよね。ウザいけど。
一度なんか最後までこれで書いてみたい。


そして「彼ロボ」は三回書き直したくらい好きなお話だったりします。
個人的にはお兄ちゃんが好きでしてね。むしろお兄ちゃんが主役のつもりで書いてるというか、お兄ちゃん視点のR-18版もあったりします。NTRですよNTR!!!!!
なんか読み返したら文章アレすぎたんでそのうち直してこっそりうpしたいなあと思いました。
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まとめ【「彼がロボットになろ】

 ようこそ未来へ、時代遅れの兄ちゃん! まったく、生えたカビも変異するようなクソ過去から遠路はるば

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こんな良作を見落としていたとは……

ディスプレイ上で小説を読むのが嫌いだというわがままな私ですけれども、クリックしたらついつい『彼ロボ』を最後まで読んでしまいました。
ちなみに、はるかな昔、拙作にコメントをいただいたことがありましたが、コメント返信以外に特にリアクションを返さなかったのは、単純に、上述の理由で作品をほとんど拝見していなかったからです。

ディスプレイ越しだと目が疲れる以上、そのブレイクスルーがいかんともしがたいわけですが、こんな良作を見逃していたとは、もったいないことをしていました。
(なお、紙に書かれていれば抵抗がないので、『しぶ勇』は全巻買いそろえさせていただいております)

ファンタジア大賞で四次落ちという、半端な所でとどまっている私としては、それらの作品から色々と見習わなければならないですね。
大体、私はいつもオチが弱い(オチがなくても面白い作品を理想としているせいもありますが)のです。
『彼ロボ』のように、思わずうなってしまうようなオチも、やはり大切ですよね。

>久遠さま

返信遅くなってしまって本当に申し訳ありません。
拙作を読んで下さって本当にありがとうございます!
『彼ロボ』は個人的にとても好きな話なので評価戴けてうれしいです。
オチはまあすげえ鬱なんですけど、毎度ラストに余韻が残る感じの話を書きたいなあと心掛けております!

ただし、賞レース、特にラノベ系では基本的に鬱エンドは求められていないみたいというかNGみたいなので、その辺はあまり参考にしない方が良いかもです(汗
余韻が残るハッピーエンド! ハッピーエンドが強いっぽい気がします!
基本鬱好きでそういうの苦手なんで自分もうまく猫かぶって頑張りたいです…。

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